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 海水淡水化施設

 海水淡水化センターの必要性

 

 沖縄本島においては、近年、人口の増加、経済の発展、観光客の増加等に伴って水需要が年々増加しており、昭和47年に一日当たり約20万m3であったのが、平成11年には約42万m3(県庁舎[約27万6千m3]の約1.5倍)となり、28年間で約2倍に増大しています。この需要の伸びは今後ともつづくものと予想されます。

 国と県では、増え続ける水需要に対処するため、これまでダム群の新規開発や西系列河川からの取水などによって水源の確保に努めてきましたが、供給が追いつかないのが現状です。

 そのため、沖縄ではひんぱんに渇水が生じており、本土復帰以降、平成11年までの28年間のうち給水制限のなかった年度は、約半分の14年となっています。特に昭和56年〜57年の渇水時には、実に326日間にわたる制限給水を実施しており、最近では平成3年に空梅雨と長期かんばつにより6月〜9月にかけて24時間断水を含む64日間にわたる制限給水を実施してきました。

 このような水需要の厳しい現実から、陸水の水資源開発だけでは需要のバランスを維持することが困難であると予想されるため、企業局では海水淡水化施設を建設しました。

 沖縄の清らかな海を水源として利用し天気に左右されることなく、いつでも必要な水を生産するということは、沖縄県民の長い間の夢でした。

  海水淡水化施設の概要

場  所 沖縄県北谷町宮城
敷地面積 約12,000u
建築面積 約9,000u(延床面積 約17,600u)
建  家 RC及びPC造り(地下1階、地上4階)
施設規模 (生産水量) 40,000m3/日
淡水化方式 逆浸透法(RO法)
回 収 率 約40%
膜の種類 スパイラル型芳香族ポリアミド複合膜(逆浸透膜)
取水方式 海底取水管方式
放流方式 水中拡散放流方式
総事業費 約347億円(国庫補助率85%)
主な給水区域 北谷浄水場の陸水系とブレンドした後給水
(北谷町、沖縄市、北中城村、中城村、宜野湾市、浦添市、那覇市)


〇 事 業 の 経 緯

年 度 事  項
昭和52年 厚生省委託による「沖縄本島海水淡水化計画調査(第1次)」が(財)造水促進センターにより行われる。
昭和53年 厚生省により「沖縄本島海水淡水化計画調査(総合取水計画)」行われる。
昭和53年 厚生省委託による「沖縄本島海水淡水化計画調査(施設計画調査)」(社)日本水道協会により行なわれる。
昭和55年 厚生省委託による「沖縄本島海水淡水化基本計画調査」が(財)造水促進センターにより行なわれ、逆浸透法による施設整備について検討される。
昭和63年 第5回事業変更認可申請において、逆浸透法による海水淡水化施設整備の認可を得る。
平成元年 「北谷浄水場海水淡水化施設導入に関する調査」を実施し、基本計画を策定する。
平成2年 「海水淡水化施設導入検討委員会」を設置し、学識経験者を中心に調査検討を始める。
平成2年 「北谷浄水場海水淡水化施設導入に関する予備調査(その1)」を実施し、施設整備計画、環境影響調査(秋期・冬期)を行う。
平成3年 前年度に引き続き「北谷浄水場海水淡水化施設導入に関する予備調査(その2)」を実施し、施設整備計画、環境影響調査(春期・夏期)を行う。
平成4年 水道法施行令及び沖縄振興開発特別措置法施行令の一部が改正され、海水淡水化施設が水源開発施設として位置づけられ、国庫補助事業として認められる。
平成4年 「沖縄県海水淡水化施設実施設計」を行う。
平成5年 「沖縄県海水淡水化施設土木建設工事」に着手する。
平成7年
平成8年
平成9年
一部供用開始 (10,000m3/日)
(25,000m3/日)
施 設 完 成 (40,000m3/日)


〇 海水淡水化技術のメリット

(1) 無尽蔵にある海水から季節や気象条件に左右されることなく水の確保が出来ます。
(2) 施設建設は、プラント設備が主体となるため、ダムの建設に比べて工期が短くてすみます。
(3) プラントがコンパクトなため施設面積が小さくてすみます。
(4) 消費地の近くで設置できるため、導送水施設の距離が短くてすみます。


◯ 海水淡水化施設の海域への影響

 本県の海水淡水化施設は、逆浸透法により4万m3/日の淡水を生産しますが、それに必要な海水量は約10万m3/日で、そのうち約6万m3/日は海へ排出されます。

 海水には約3.5%の塩分が含まれていますが、排出される海水の塩分濃度は約5.8%になります。

 海水の排出方式は、水中拡散放流で、放流塔の放水ノズルより拡散効果を高めて水中放流するため、5.8%の塩分濃度は放水口先端より8mの地点で3.6%となり、さらに12mの地点では3.54%となってほぼ普通の海水になることがシュミレーションの結果判明しています。

 さらに、当海域では黒潮海流が沿岸にほぼ平行に流れており、放流海水による海生生物への影響はほとんどないものと思われます。

濃縮海水の放流   放流塔
濃縮海水の放流   放 流 塔


◯ 海水淡水化施設の造水コスト

 平成9年度の全面供用開始〜平成18年度においての日平均生産量は約10,300m3となっており、平均造水コストは1m3 あたり約282円となっております。

〇 海淡水のブレンド

 海水淡水化施設で生産された水は、pHが低いため低いため苛性ソーダを注入し、pH調整を行っています。
 また、硬度も低いため通常はカルシウム等硬度成分の添加を行う後処理が必要になります。

 しかし、当海淡施設の場合、隣接している北谷浄水場の陸水系の処理水が硬水となっており、この浄水場の処理水とブレンドすることにより、適切な硬度及びアルカリ度をもったおいしい水になり、特別な後処理は必要ないと考えています。


〇 水質比較

原水水質及び生産水水質比較 (平成18年度)
  原 水
(RO供給水)
生 産 水
蒸発残留物(mg/l) 36,400 351
塩素イオン(mg/l) 19,800 132
硫酸イオン(mg/l) 2,300 2.6
ナトリウム(mg/l) 11,600 92.4
総 硬 度(mg/l) 6,640 8.5
導 電 率(μs/cm) 51,100 491


◯ 海水淡水化技術の種類

 海水は、約96.5%の水と約3.5%の塩分からなっていますが、この海水に含まれている塩分を除去して真水を得ることが海水淡水化技術です。これまで実用化され普及している海水淡水化の方式には蒸発法、逆浸透法、電気透析法などがあります。

 今回、沖縄県が採用した方式は、省エネルギー技術として脚光を浴び近年、国内外で普及しつつある逆浸透法です。

 この原理は、水は通すが塩分は通しにくいという特殊な性質を持った「半透膜」と呼ばれる膜を使って真水を得る方式です。膜を利用して槽の中を仕切って一方に真水を、他方に海水を入れると、同じ濃度になろうとして真水が半透膜を透過して海水の方に移動します。これが「浸透現象」で、ある一定の圧力差が生じた時、真水の移動が止まります。この差圧を浸透圧と呼びます。

 逆浸透法は、海水側に浸透圧より大きい圧力を加えると海水中の水が真水側に押しだされるという原理「逆浸透現象」を利用したものです。


〇 浸透圧のはなし

浸透 逆浸透
■ 浸 透 ■
半透膜(例えばセロファン)で仕切られた容器の一方に真水を、他方に海水を入れたとき、双方の塩分濃度が均一になろうとして、真水が半透膜を通って海水側に吸込まれていきます。この現象を「浸透」と呼びます。そして、真水の浸透により、海水側の水面が上がり、ある値に達してバランスします。このとき双方の水面差を「浸透圧」と呼びます。3.5%の塩分を含む海水の浸透圧は約25kg/cm2です。
■ 逆 浸 透 ■
反対に、海水側に浸透圧より大きい圧力を加えると、海水側から半透膜を通して、真水が押し出されてきます。この現象を「逆浸透」と呼びます。逆浸透モジュール内部では、上記の原理で海水淡水化が行われます。


◯ 逆浸透膜ユニット

膜ユニット  海水淡水化施設の心臓部に当たり、海水から淡水を得る装置である逆浸透ユニットは、逆浸透膜エレメントを6本装填した逆浸透膜モジュールによって構成されています。

 63本の逆浸透膜モジュールで1ユニットを構成し1ユニット当たり約5,000m3/日の淡水を生産します。

〇 逆浸透膜エレメントの構造

 逆浸透膜エレメントは、図のように逆浸透膜、流路材、スペーサー等を組合せ、のり巻き状に成形したスパイラル型のものです。 膜

〇 逆浸透膜の構造

膜構造  逆浸透膜は断面図のように、基材の上に支持材、半透膜の各層を重ねて製膜したポリアミド系の合成複合膜です。

 この膜は99%以上の高い塩分除去率を有しており、海水から一回の脱塩で真水を取り出すことができます。

  海水淡水化施設設備概要

設  備 設 計 緒 元(40,000m3/日に対して)
原水設備 取水管 φ1,220×220m×1条(海底取水管方式)
取水ピット
(沈砂池)
W4.5m×L10.5m×H5.3m(有効)×2池
(自動除塵機)
取水ポンプ Q 19.4m3/分×H48m×5台(内予備1台)
調整設備 ろ過装置 直接凝集ろ過(直接2段ろ過)
1次ろ過装置:32m2/基×13基(内1基予備)
2次ろ過装置:33.6m2/基×9基(内1基予備)
調整水槽 容量V 1,000m3 × 2槽
逆浸透設備 供給ポンプ Q8 .94m3/分×H45m×9台(内1台予備)
保安フィルター Q 537m3/時×9基(内1基予備)
高圧ポンプ Q8.91m3/分×H650m×8台(予備なし)
逆浸透設備 1ユニット当たり 5,131m3/日×8ユニット(予備ななし)
1ユニット当たり63ベッセル(7列9段)1ベッセル6エレメント
付帯設備 薬品洗浄装置、エネルギー回収装置
施設給水ポンプ Q 4m3/分×40m×3台(内1台予備)
淡水水槽 容量V=200m3×2槽(サックバック水槽兼用)
放流設備 放流管 φ700×230×1条(水中放流方式)
放 流 槽 容量V=210m3×1槽
(廃水処理設備) 洗浄排水槽 容量V=330m3×2槽
洗浄排水ポンプ Q 1.63m3/分×H20m×4台(内1台予備)
(脱水設備) 濃縮槽 分離面積:A94u 容量:V=380m3 3槽
希 釈 槽 分離面積:A64u 容量:V=260m3 2槽
脱 水 機 脱水機運転:1日4〜5時間運転
面積:A=100m2×2基
脱水ケーキ:約2.5m3/日(含水率65%以下)
薬品注入設備 塩化第二鉄注入装置
次亜塩素酸ナトリウム注入装置
硫酸注入装置
重亜硫酸ナトリウム注入装置
苛性ソーダ注入装置
受変電装置 引込設備、受電設備、変圧設備、配電設備
電気計装設備 動力設備、非常用発電設備、制御電源設備、
監視制御設備、計装設備


 海水淡水化の流れ(フロー図)

 

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